奥村眞吾先生より〜ミュージシャン・プリンスの遺産と相続 |
UPDATE 2016.05.25 |
ウォール・ストリート・ジャーナルやその他のメディアによると、シンガーソングライターでシングルの総売上げ枚数が1億2000万枚以上となるプリンス(Prince,本名:Prince Rogers Nelson)が先月4月21日に死亡、その直後、妹のTyka Nelsonがプリンスの出身地ミネソタ州のCarver Countyの裁判所に、遺言書がないので遺産の一時的管理を行う管理人(Administrator)を立ててほしいと要請した。アメリカの相続手続きは日本と比べものにならないくらい複雑である。日本の場合、人が死亡すると、その人の法的相続人が瞬時に相続、後で法定相続人がその遺産の分割をするのであるが、アメリカの場合、人が亡くなると遺産財団のものになり、相続財産取得者の第一に国がなる。そのため、信託を生前に組んで(Living Trust)相続対策を行う。プリンスの場合は「信託」を組んでいないし、遺言書もない。彼ほどの人間が「信託」も「遺言」もないというのは信じられない。相続手続きが完了するのに数年は少なくともかかるだろう。