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増田悦佐さんより〜「景気は操作できると信じた人間たちの歴史」シリーズその2
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UPDATE 2013.10.11
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パンとサーカスと……既得権益と
世界経済史の中で、かなり確実性の高い記録の残っている最初のインフレは、紀元3世紀の帝政ローマでのデナリウス銀貨の銀の含有量の劇的な低下にともなって起きたものだった。もちろん、根本的な問題は広大な植民地のあちこちで勃発した反乱や、徐々に激化していた北方からの「蛮族」の侵入に対応するたびかさなる軍事行動の費用が、まっとうな手段ではまかないきれなくなっていたことだった。『古代ローマを知る事典』からの推計によれば、2世紀半ばで約8億3000万セステルティウス(1セステルティウスは現代の日本円で約330円に相当)の歳出のうち、4分の3以上が軍団費だったという。