増田悦佐さんより〜「危機と金(ゴールド)」 シリーズその6 |
UPDATE 2010.08.13 |
金本位制から借金本位制へ
1971年のリチャード・ニクソン大統領による「ドル金兌換停止」宣言によって息の根を止められた金為替本位制にとって変わった国際金融制度は、いったいどんな制度だったのだろうか。通説に従えば、各国政府がそれぞれの中央銀行に不換紙幣を印刷する権利を与えたこの制度を根底で支えているのは、各国の国民の政府や中央銀行に対する信頼だということになっている。
だが、ゴールドという碇(いかり)から解き放たれて、政府の財務担当者や中央銀行の幹部が「自由」に紙幣を増刷できるようになった制度は、本当に、中央銀行や政府の財務政策担当者に対する「信頼」を基軸とする制度だったのだろうか。そんなバカなことはありえないという気がする。