増田悦佐さんより〜「花づな列島日本の奇跡をことほぐ」 シリーズその4 |
UPDATE 2010.04.23 |
日本に公園がなかったのは、封建領主が「非人間的」だったから?
日本の知識人の度しがたい欧米崇拝の典型として、都市景観の中にどのくらい緑の空間が確保されてきたかを、領主たちの人間性の問題として論ずる手合いが多い。彼らの典型的な議論を紹介すると、こんな感じだ。
「ヨーロッパの都市には、中世から守られてきた緑豊かな公園があり、ちょっと郊外に出ると大都会のすぐそばとは思えないほどうっそうとした森もある。これは、ヨーロッパでは封建領主たちでさえ、市民のために緑豊かな環境を維持しようと努力してきたことを意味する。それに比べて、公園も郊外の森も造りも守りもしなかった日本の封建領主たちは、庶民の生活などどうでもいいとおもっていた非人間的な連中だった」
この手のヨーロッパ賛美論は、まさに汗牛充棟で数え切れないほどの本に書かれている。ここでは、こうした議論がまったく歴史を知らない人間による誤解のかたまりだと指摘した文献を紹介しておこう。