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増田悦佐さんより〜「文明の壊れ方」シリーズその32

 

UPDATE 2013.04.12

いつ弾けてもおかしくない、世界同時の株バブル

世界中で根拠のない楽観論が台頭している。キプロスの銀行危機で逃避した資金が、よりによってイタリアに殺到しているというほどさんたんたる状態のユーロ圏でさえ、ソブリン危機が深刻だった2011年に比べれば、ずっとマシな状態になっていると真顔で主張する人もいる。

こうした楽観論には、たったひとつしか根拠がない。その唯一の根拠とは何かと言えば、株価が上がっていることだ。下に紹介する4枚のグラフが、このあまりにも株価偏重の経済観を立証している。先進地域の3大経済圏、アメリカ、日本、ヨーロッパに世界全体を加えて、それぞれの株価指数とマクロ経済の指標がどう推移しているかを比較したものだ。


出所:ウェブサイト『Zero Hedge』、2013年4月2日のエントリーより転載

左上から順にチェックしていこう。アメリカ株はダウ平均にしてもSP500にしても快調に史上最高値圏を突っ走っている。ところが、マクロ経済のほうは、今年1月を底にようやく上昇に転じたかと思ったら、またしても3月下旬から下降に転じてしまった。

あとからくわしく説明するように、良くなっているのは企業利益だけなのだ。しかも、その企業利益増は賃金・給与を削って捻出しているのだから、もともと一般消費者の財布のヒモが緩むような要因はまったくない。ほとんどあらゆる産業で、売上は伸びないのに利益率を高めているだけだから、事業規模の拡大もない。

こういう環境の中で、4月初旬に発表された労働統計で、コンセンサス予測が約16万人となっていた雇用者の増加数が、その半分に近い8万8000人にとどまった。今さらながらアメリカ経済全体の不振ぶりを確認したわけで、いつまでも株価だけが上がりつづけるわけがないという認識が高まっている。

なお、全体として雇用者数が増えているのだから、不振と言うのは言いすぎだろうとおっしゃる方もいるかもしれない。だが、その考え方は2点でまちがっている。まず、アメリカはまだ生まれる子どもの数のほうが亡くなる人の数より多いので、人口の自然増減でも伸びているし、移民が入ってくるので社会増もある。だから、雇用は毎月かなりの人数分増えていないと、労働力市場に新規に参入する人たちを吸収できない。

また、アメリカ経済は2008〜09年のいわゆるリーマン・ショック期に約800万人分の職を失った。現在までのところ、そのうち400〜500万人しか再就職できていない。毎月の雇用者増が10万人程度ではなかなか長期失業者の職場復帰ができない構造の社会になっているのだ。

株価と実体経済のかい離がもっと極端なのが、右上に示した日本のケースだ。非常に興味深いことに、日本の経済活動指数が直近でピークを付けたのは、去年11月末から12月前半で、近来稀に見る不人気政権だった野田内閣の最末期だった。逆に、第二次安倍内閣が発足してからというもの、経済活動指数は延々と下げつづけている。

これは日本に限らず世界的な傾向なのだが、最近の新聞やテレビの報道では株さえ上がっていれば、そのほかの指標がどんなに悲惨な実態を示していても、「経済は絶好調」とほめそやす傾向が顕著だ。インターネット系のメディアに日々縄張りを侵食されている伝統的なメディア全体として、カネ払いのいい広告主としては残された最後の大物である金融業界の意を迎えることに汲々としているからだ。

現安倍政権は、去年の秋ごろから日本経済の実態が徐々に完全していることを確認して上げ始めた日経平均の動きを、都合よく自分たちの政策に対する信任投票と解釈している。そして、今なお円安・インフレ誘導という日本国民全体を窮乏化させる政策にまい進しているわけだ。

野田政権が決して正しい政策を推進していたわけではない。だが、あまりにも無力な政権だったために、ほとんど日本経済の自律回復を妨害することもできなかった。それが、12月半ばまでの経済活動指数の急激な改善に結びついていたわけだ。

そして、株価のほうは11月下旬にはずみがついて上がりはじめたままのペースで、ほぼ一直線に上昇しつづけている。だが、好調そのものの株価とは裏腹に、安倍政権発足以来の経済政策が何をもたらしたのかは明白だ。つまり、鈍化、縮小、低落といったおよそ好ましからぬ動きばかりだ。

日本経済に関するかぎり、唯一の争点は株式市場参加者が、いつこの実態を株価に織りこみはじめるかに絞られてきた。

左下のヨーロッパの場合、去年の暮れから今年年初にかけて、2009年春に始まった景気回復がピークを打った2010年末と同じくらい高水準に駆け昇っていた。いったいヨーロッパのどこで何がこんなに改善していたのかが不思議なくらいの、急激な経済活動の拡大があったわけだ。だが、この回復は、始まったときと同じくらいの急激さで縮小に転じてしまった。結局、ユーロ圏は今までどおりのパッとしない実体経済に加えて、キプロスの銀行危機以降は銀行預金が安全な資産ではないという認識が上乗せされたので、本格的な回復への道はますます遠くなっている。

そして、右下に掲載した世界株と世界経済の実勢だ。ここでもまた、今年3月中旬以降、株価は高値圏に踏みとどまっているのに、マクロ経済指標は急落という対照が鮮明になっている。この点に関しては、ゴールドマン・サックスご推奨のBRICs諸国で実体経済が軒並み減速しているのに、株価は新興国第2グループの実体経済の堅調さなどをはやして、高止まりしているという可能性が高い。

だが、BRICsと第2新興国グループで株式市場の規模や、今までに先進諸国から流入していた投融資の規模を比較すれば、現状がいかに危うい基盤に立った高止まりなのかはすぐ分かる。先進諸国に加えて、BRICs諸国まで株価が実体経済を反映した水準に下がれば、第2新興国グループの実態がどんなに良くても、世界の株価を高水準に保つことはできない。ましてや、このグループだって先進諸国経済が軒並み、下降・収縮に転じていることの悪影響をまぬかれるはずもない。

世界は今、株価という虚構がマクロ経済という実態を引っ張り上げるのではなく、マクロ経済の実態が株価という虚構を引きずり下ろす局面に来ている。この環境を認識したうえで、次のグラフをご覧いただきたい。


出所:ウェブサイト『Zero Hedge』、2013年4月3日のエントリーより転載

今年年初来3月末までの各種金融商品の収益率を、米ドル建てで表示したものだ。米ドル建てで見ても、約11%の上昇でSP500と首位争いをしているというのは、ほんとうにすごい実績だ。この間に円の対ドルレートは11〜12%下がっている。だから、円建てで表示すれば22〜26%くらいは上昇していたはずだということになる。実際には、去年の大納会の終値が1万395円で、今年3月の終値が1万2398円だったから、19%の上昇だったわけだ。

とにかく、世界中に蔓延している株価バブルの中でも、日本が突出し、アメリカが後を追っているという状態だということを確認して、先に進もう。アメリカを代表する株価指数SP500をインフレの影響を除去した実質表示にして、1870年からという超長期のトレンド線と対比したグラフだ。


出所:ウェブサイト『dshort.com』、2013年4月1日のエントリーより転載

株にくわしい人の中には、「SP500が現在のかたちで集計され始めたのは1957年からだ。1870年にさかのぼれること自体が、うさんくさい」という印象をお持ちの方もいるだろう。だが、早くから金融市場が発達していたアメリカでは、個別銘柄の株価記録には非常に長い蓄積がある。だから、のちにSP500に採用された銘柄の集計開始以前の株価を拾い出して、現行のSP500の算出法と同じ方法で、もし当時からSP500が集計されていたとしたらどういう動きになっていたかを表示することができるのだ。

ということで、グラフに戻ろう。まず名目ベースではつい最近史上最高値を記録したが、実質ベースのSP500は2000年の大天井以降、下落基調にあることが分かる。ただ、2000年のピークそのものが、トレンド線からプラス方向に153%もかい離したというとんでもない高値だったために、その後2009年春の大底でもトレンド線をたった11%下回っただけだし、直近の戻り高値はトレンド線から56%も上で、ふつうの波動なら天井近辺と言ってもおかしくないほど上のほうに位置している。

この2000年の高値がなぜ突出しているのかと言うと、それはアメリカの個人退職年金資金の株式市場への流入がこのころピークに達していたはずだからだ。この議論は、この欄でも2〜3度説明した。今回問題としたいのは、なぜこれだけ大きく上に逸脱していたのに、その直後の下へのかい離が比較的小幅なのかという点だ。

およそ値段の付くものならなんでも、値上がり、値下がりの波動が起きる。そして、「山高ければ、谷深し」という言い古された相場の格言が示すように、直前の値上がり幅が大きければ大きいほど、そのあとの値下がり幅も大きくなる傾向がある。1929年の大パニック直前の投機ブームの頂点で上に81%もかい離していたSP500価格が、1930年代大不況のさ中には下に67%もかい離したのが、その典型だ。

ところが、今回は上に153%もかい離した直後の底で、たった11%しか下にかい離していない。これはいったい、なぜだろうか。その背景にあるのが、世界中の先進諸国の中央銀行が総資産を急拡大してきたという事実だ。


出所:ウェブサイト『Market Oracle』、2013年4月2日のエントリーより転載

上のグラフに見るとおり、イングランド銀行やスイス中央銀行といった小ものにまじって、連邦準備制度(Fed)の総資産もたかだか5年のあいだに3倍以上の急激な伸びを示している。なお、このグラフを見ただけでは、日銀の総資産伸び率が非常に低く見える。だがそれは、日本経済が世界中のどこの国よりも先に、具体的には1995〜96年ころにはデフレに突入していたという理由によるものだ。だから、日銀が総資産を拡大しはじめた時期も、他の先進諸国の中央銀行より早かったというだけのことだ。決して、総資産の膨張ぶりで劣っているわけではない。

さて、中央銀行の総資産が増えるというのはどういうことだろうか。経済にカネを注入するために、何かを買って現金を払っているわけだ。そして、中央銀行は別に卸売業や小売業に進出したいわけではないから、買ってストックするのはふつうの商品ではない。債券とか株とかを中心とする金融商品だ。ということで、なぜ昨今は実体経済とかい離した株高があちこちで起きているのかも分かってくる。次のグラフを見れば、まさに一目瞭然だろう。


出所:ウェブサイト『Zero Hedge』、2013年4月1日のエントリーより転載

アメリカというのは、ほんとうに分かりやすい国だ。2009年3月の株価大底から丸4年間で実質GDPは5〜6%しか伸びていないのに、SP500は130%も増えている。なぜこんなことが可能だったかと言えば、同じ期間にFedの過剰準備(一般の銀行が法律で定められた金額以上の預金をFedに開設した口座に積んでおくこと)はじつに約170%も伸びていたからだ。この資金が、Fedに積んでいるだけではほとんど金利が付かないから、良い運用先を求めてさまざまな金融市場を徘徊することになる。

さらに、アメリカでも低金利が続き、債券価格の上昇余地(債券利回りの低下余地)は小さくなっている。債券のもたらす利回りでは満足できないという人が多くなれば、投資先を求める資金が株式市場としては世界最大の規模を持つアメリカ株に集中するのは、当然すぎるほど当然の成り行きだろう。

そして、過去11年間のSP500の値動きは、基本的にFedがプライマリーディーラーと呼ばれる金融業者にばら撒いた資金の量が多ければ上昇、少なかったり、資金回収をしたりすれば下降と、まことに分かりやすい図式を描いている。ちなみにプライマリーディーラーというのは、Fedによる米国債の公開オペレーションがあるときに、ニューヨーク連銀との相対で直接売買する資格を持った金融業者のことだ。


出所:ウェブサイト『Global Economic Intersection』、2013年4月4日のエントリーより転載

Fedがプライマリーディーラーに供給した資金が多いときにはSP500も上がり、少ないときやプライマリーディーラーから資金を回収したりしていたときはSP500も下がっている。そして、Fedが注入している資金額は、毎月1000億ドル(約9兆円)にのぼっている。

当然、「株価を支えるために、Fedはこれからも金融業者にどんどん現金をばら撒きつづけるべきだ」という考え方もあるだろう。だが、それではダメなのだ。次に引用するグラフを見れば、なぜダメなのかが分かる。


出所:同所より転載

グラフの上側を見ると、消費者物価指数(CPI)で実質化したアメリカの工場受注高は、今年の2月も前年同月比で1.9%下がっていた。これで去年の11月から4ヵ月連続で下落したことになる。この1束の折れ線の中でいちばんひんぱんに上下動をくり返している青の線が、実質工場受注高なのだが、2006年の年初から2008年半ばまでを高値圏として、その後急落した分の約3分の2を戻したかっこうになっている。

アメリカ経済の実態は、このパターンが示唆する以上に悪化している。アメリカの場合、2007年からの6年間で人口が6%増加しているからだ。つまり、もしこの図で2007〜13年が横ばいに見えるとすれば、それは人口1人当たりで見れば6%減となっていることを意味するのだ。

また同じグラフの下のほうでは、実質工場受注額が2010年の春ごろにピークを打ってから、ほぼ一貫して下げつづけていることが分かる。Fedがいくら金融業界に資金を注ぎこんでも、実体経済の回復にはほとんど貢献していないのだ。次の上下2枚組グラフも、同じことを示している。


出所:ウェブサイト『Global Economic Intersection』、2013年4月2日のエントリーより転載

上段のグラフでは、2012年3月からアメリカの実質工場受注は前年同月比でマイナスとなることが多かったことが分かる。また、下段のグラフでは、生産高より急激に実質出荷額が下がっていることも読み取れる。つまり、アメリカの製造業各社が、つくりすぎによる意図せざる在庫の急増に見舞われているはずだということになる。

アメリカ中の製造業各社が、低迷している受注に合わせて生産量自体は絞りこんでいるはずだ。それでも意図せざる在庫が増えてしまうというのは、かなり深刻な事態だ。

これまでのところ、「アメリカ経済回復」の幻想を支えていたのは、株価上昇と企業利益拡大の2本柱だった。だが、株価バブルがいつ弾けてもおかしくないところに来ている上に、もう1本の柱である企業利益の拡大のほうは、2012年第3四半期(7〜9月)あたりからぐらついている。


出所:ウェブサイト『Zero Hedge』、2013年4月1日のエントリーより転載

ご覧のとおり、2009年第1四半期から2012年第3四半期までの累計で言うと、企業の1株当たり売上はたかだか10数%伸びたにすぎない。だが、同じ期間のうちに、企業利益のほうは190%近く伸びていたのだ。このパターン、GDPはほんのわずかしか成長していないのに、株価は急騰したのとそっくりではないだろうか。もちろん、株価の急騰は、企業利益がこれからも拡大しつづけるという期待にもとづいているわけだ。

だが、2011年第4四半期以降の4四半期を見ていると、この期待はみごとに裏切られる可能性が高いと分かる。2012年の第1四半期だけは、微減収で2桁増益を達成していた。だが、残る3四半期では、売上は横ばいから微増を維持しているのに、利益はマイナスになっているのだ。好調な株価を支えてきた実体経済で唯一の明るい材料、企業利益の拡大ももうもたなくなってきたと見るべきだろう。

企業の場合は、2009年の春に底打ちしてから、売上は伸びないが利益は拡大するという時期が4年間続いたあとで、もうその手が効かなくなっているという状態だ。それに比べて、消費者の家計は、ほぼ一貫してじわじわと縮小を続けてきたわけだから、大変だ。

アメリカの消費者がどんなに窮迫しているかについては、モール建設プロジェクトの激減と、それにもかかわらずモールの空室率が高止まりしていることにも表れている。1980年代の後半から、アメリカの民間非住宅建設投資を支えてきたのは、小売店舗、中でもモールの新設事業だった。初期のモールはだいたいそれほど大きな投資額は必要としない小規模ロードサイド店舗中心だったので、ここが有望だとなれば小回りの利く資金がどっとなだれこんでいた。

モール建設投資の対GDP比率はほぼ0.25%以上の水準で高止まりしていたにもかかわらず、ロードサイドモールの空室率は1980年の約7%から1990〜92年の3年間だけ11%に上がった程度で済んでいた。これは、1980年にはオフィス空室率も同じように7%前後だったのに、1985〜92年を通じて18〜19%に定着してしまったのとは、大変な違いだった。

そして、1992年以降のアメリカ不動産市場の回復を先導したのも、モール建設投資がピーク期の約6割程度に抑制されるとともに、モールの空室率が着実に下がっていったという事実だった。さらに、2000年からは、規模の大きい地域センターモールの空室率も別個に集計されるようになるが、一過性の上昇期をのぞくと地域センターモールはロードサイドモールより2ポイント近く空室率が低い状態が続いていた。

しかし、リーマン・ショックは、小売店舗建設プロジェクトにも深刻な不況と規模縮小をもたらした。まず、ピーク期には0.25〜0.28%に達していたモール建設の対GDP比率が、最悪期には0.07%程度と約4分の1に下がってしまった上に、その後の回復もせいぜい0.10%までと、6〜7割の大幅な市場縮小となっている。

通常、これだけ新設投資が冷えこめば、空室率は低下するものだ。だが、ロードサイドモールは11%弱で史上最高水準近くにとどまり、地域センターモールも史上最高だった9%台前半から約1ポイント下がっただけの8%台前半に高止まりしている。

アメリカのモール不振については、インターネットショッピングの普及が影響しているという説も有力だ。もちろん、そういう要因はたしかにある。だが、「なぜ買いもの需要がネットに流れているのか」という理由が重要だろう。

もし、ネットのほうが便利で使いやすいからというような魅力の問題なら、対策ははっきりしている。なんとか客を店に呼び戻す工夫ができた企業は売上を伸ばせるだろうし、そうでないところは縮小したり脱落したりするだけのことだ。

非常にこわいのは、アメリカ国民全体の生活が苦しくなってきて、昔のようにガソリンを湯水のように使って、あちこちにクルマで出かけるというライフスタイルが維持できなくなっているのではないかという点だ。アメリカのように居住地域が広く拡散している国でそういう事態になると、小売業界の中で克服する道はちょっと見当たらない。客が住んでいるところまで行商、あるいは御用聞きに行くというのは、非現実的すぎる。

現状では、どちらの可能性のほうが高そうだろうか。残念ながら、後者、つまり国民の貧窮化によって、ガソリンが従来ほど使えなくなっているという可能性が高いと思われる。過去40年間にわたるアメリカのガソリン小売販売高を日量で示した、下のグラフをご覧いただきたい。


出所:ウェブサイト『Zero Hedge』、2013年4月3日のエントリーより転載

1997〜2003年という長期にわたって1日当たり6000〜6500万ガロンの水準を維持していたアメリカのガソリン小売販売高が、2011年後半に3000万ガロンを割りこんでしまった。つまり、ピーク期の半分未満になっているのだ。

今のところ、アメリカ国民が日常的に消費する商品で、ここまで販売量が激減しているものは、ほかには見当たらない。だが、アメリカ経済のみならず、アメリカ文明に占める自動車の重要性を考えると、ガソリン消費量の大収縮がいったいどんな分野にどういう影響をおよぼすか、ちょっと想像もつかない。ひとつだけはっきり言えるのは、アメリカの景気は良くなっているはずがないということだ。

世間的にはいちばん順調に景気回復が進んでいることになっているアメリカでさえ、内情はここまで切迫しているわけだ。アメリカよりはるかに経済基盤の脆弱な寄り合い所帯として出発したユーロ圏諸国、そして今や老残の身をさらしているだけのイギリスが、アメリカよりマシな状態にあるとは考えにくい。たとえば失業率の推移を見るだけも、ドイツとオランダの2ヵ国をのぞくユーロ圏諸国は軒並み2ケタに突入しているし、スペインやギリシャでは25%前後にのぼっている。


出所:Lighthouse Investment Management、『Euro Zone Monitor』、2013年4月号より転載

ここで注目しておくべきは、水準としてはオランダの失業率はドイツ並みに低いが、ここにいたる経路はほぼ正反対だったという事実だ。つまり、ドイツはリーマン危機以降むしろ失業率が低下している。それに比べて、オランダは2008年の年央までは先進諸国でも一、二を争うほど低かった失業率が、リーマン・ショック以降上昇に転じている。

そのほかでは、つねに地味であまり話題にならない国だが、ポルトガルのこの間の失業率急騰も要注意だ。過去1年半で12〜13%から16%へと急激に労働市場が悪化している。また、このところ話題のキプロスも、2011年の年初には7%前後とオランダ同様に低かった失業率が2012年末には12%まで急上昇している。

ところで、このユーロ圏諸国の失業率のばらけ方自体が、経済政策のなかでも金融政策の無力さに関する大きなメッセージになっている。世界中どこの国でも、どうやって失業率を下げるかということは、経済政策の大きな柱のひとつだ。

失業率の低さは、たんに国民経済の安定に多大な貢献をするばかりではなく、働くことのできる人間にとって非常に重要な自尊心の基盤をも提供してくれるからだ。好況不況を通じでつねに欧米諸国より失業率の低い日本だけが、この利点を十分評価することなく、欧米のマネをして失業率を高めるに決まっているような政策をゴリ押ししようとする悪党どもが経済学者を自称している珍しい国だが。

ユーロ圏内では、金融政策がかなりの程度まで統合されている。だが、この事実は失業率を低めるという重要な政策課題に関するかぎり、悪影響をおよぼすことはあっても、ほとんどプラスがないことが明らかになってきた。上に見たとおり、ユーロ圏内で失業率はドイツやオランダの5%強から、スペインやギリシャの約25%まで非常に広い範囲に分散している。

そして、この差をつくりだしているのは、絶対に金融政策でも財政政策でもない。国民の大部分を占める勤労者が、自分たちの労働をなるべく高く売りつけようとしているか、価値に見合った値段で売ろうとしているかの差なのだ。その実態を示しているのが、次のグラフだ。


出所:同所より転載

ユーロ圏8ヵ国プラスイギリスというユニバースで、つくり出す財やサービスの価値に見合った労賃を志向していたのは、ドイツだけだったと言っていいだろう。その他の8ヵ国はリーマン・ショック直前まで、価値に見合わない高い労賃を要求しつづけてきた。だから、失業率は上がるし、経常収支も万年赤字になるのだ。キプロスなどは、いったい何を根拠にこれだけ高い労賃を要求しつづけてきたのかと思うほど、ユーロ圏統合以来労賃の急騰が目立っている。

また、リーマン・ショック後の世界で高すぎる労賃を下げはじめたのが、アイルランド、スペイン、ギリシャ、ポルトガルといった国々だ。このへんは順調に労賃低下が進めば経済が回復する展望も皆無ではない。逆に、リーマン・ショック前後でまったく労賃に関するスタンスを変えずに、すでに割高な労賃をますます上げているのが、イギリス、フランス、イタリアの3ヵ国だ。キプロスは自国の銀行業界の尻に火がついて、ようやく上がる一方だった労賃の抑制に動きはじめた。

今後、中長期的に経済収縮がひどくなるのは、イギリス、フランス、イタリアの3ヵ国だろう。国民全体に、自分たちの労働を高く売りつけることへの反省がまったく見受けられないからだ。派手な金融危機でもあれば、それをきっかけに眼が覚めるということもありうる。だが、現状でそうなりそうなのは、イタリアだけだろう。イギリスとフランスは植民地帝国として世界に君臨したころからの金融業界の懐の深さがそういう画期的な変化を押しとどめて、長い長い衰退過程をたどりそうな気がする。

ヨーロッパ情勢で重要なポイントは、これら諸国の中では抜群に健全なドイツでさえ、実質GDPではまだリーマン・ショック前の水準を回復していないということだろう。


出所:同所より転載

ご覧のとおり、このグラフで取り上げた8ヵ国の中で、リーマン・ショック前の水準を上回っているのはポーランド1国だけだ。あとは、アイルランドがマイナス3〜4%、ドイツがマイナス6%で、その他の6ヵ国は軒並みリーマン前の水準に対するマイナスが2桁に達している。そして、これら諸国は労賃を生産性に見合った水準まで下げなければ、どうあがいても本格回復はありえない。

しかし、それは非常に人気のない政策になる。とくに、金融政策や財政政策の小手先の組み合わせで「国民に苦痛の少ない経済回復」は可能だという連中がいるかぎり、政治的に不可能に近い選択になるだろう。ヨーロッパの没落は、ほぼ確定した。

ふり返って見れば、世界中で政府、一流企業、大手金融機関と大金持ちが恩恵を受けるだけで、一般大衆の生活は苦しくなる万年インフレ政策に対する抵抗は、1994〜95年にはもう始まっていた。次に引用するグラフがその証拠だ。


出所:ウェブサイト『Market Oracle』、2013年4月4日のエントリーより転載

政策としてのインフレ推進を「リフレ」と呼ぶ。リフレ派が一貫して無視しつづけているのが、政策当局は貨幣の流通速度を調節する道具を持ち合わせていないという事実だ。上のグラフでも、Fedによるジャブジャブの貨幣供給拡大策にもかかわらず、アメリカ国内で供給されたマネーの回転(=流通速度)は1994〜95年を境に、顕著に低下している。

M2で言えば、ピーク期には2.1回転強だったものが、直近では1.5回転強に下がっている。30%近い減少だ。M3は、1.7回転弱から1.1回転弱まで下がっている。こちらは35%以上下がっている計算になる。これは絶対に偶然起きていることではない。政府と中央銀行が結託してなんとかインフレ率を高めて、もっと恵まれた少数に優しく、国民の大多数に過酷な世の中にしようとする政策に、必死に抵抗している姿なのだ。

1990年代半ばを分水嶺として世界中で露骨になっていったリフレ政策への抵抗でいちばん成功していたのが、我が日本国民だった。たった5年前まで続いていた不動産・金融資産バブルで痛い目にあった人たちの記憶がまだ生々しかったころに世界的なリフレ政策への転換があったので、抵抗しやすかったということもあるのだろう。

先進諸国の中で日本の金融環境だけが、ちょうどこのころを境にゆるやかなデフレに変わっていく。そして、失業率の上昇も最小規模にとどめながら、名目成長率は低いがほぼ確実に実質でプラスの成長率を維持する、低位安定型の経済運営が続く。

その日本で、去年の12月にとんでもないことが起きてしまった。欧米諸国のリフレ政策の弱みが白日のもとにさらされた今ごろになって、「もっと一生懸命リフレ政策をやろう。そのためには、国民の意識自体を変えていこう」などという世迷言を政策として掲げる人間が、内閣総理大臣になってしまったのだ。

今のところ、日本国民は政権担当者たちがまだ「ならし運転」をしている期間だということもあって、一応「やれるところまでやらせてみよう」というスタンスを取っている。たとえば、これから1年後の物価水準にしても、政権交代前に比べて「上がっている」という回答のパーセンテージが上昇している。


出所:ウェブサイト『Market Oracle』、2013年4月2日のエントリーより転載

野田政権末期には60%だった「1年後には物価が上がっている」という回答が、今年2月の調査では70%に拡大した。だが、もっと注目すべきは、2011年年央の比率よりも低いし、リーマン・ショック直前の90%に比べればはるかに低いことのほうではないだろうか。当時はほんとうに景気が良くなっていることを実感している人が多かったからこそ、1年後にはインフレになっているという回答が圧倒的に多かったのだ。

「景気が良ければインフレになる」というのは、論理的にも正しいし、何度も歴史によって実証された因果関係だ。これに対して、「インフレにすれば景気が良くなる」というのは、論理的にも意味不明だし、歴史的にも実証されたことのない議論だ。新政権に対して国民が非常に好意的になっている段階で、「インフレ期待」がリーマン・ショック直前に比べて20ポイントも低いという事実が、日本国民の経済観の健全性を物語っているのではないだろうか。

そして、安倍政権の強力なご推挽で日銀総裁となった黒田東彦は、「異次元の金融緩和」というようなけばけばしい表現は連発している。だが、実際にやることとなると案外、前白川総裁のころと比べて大きな変化を起こせそうもないのだ。

そもそも世界中どこでも中央銀行がコントロールすることができるのは、マネタリーベースだけだ。このマネタリーベースをもとに銀行同士の信用創造が関わった結果としてのマネーサプライ、あるいはマネーストックが創り出される。こちらのほうは、民間企業や個人世帯がどの程度の頻度で現金のやり取りをするか次第で決まることであって、中央銀行がコントロールできることではない。

中央銀行の裁量の範囲内であるマネタリーベースについて言えば、下の2枚組のグラフ上段で見るように、2011年の年初からずい分意欲的に拡大してきている。


出所:(上)ウェブサイト『Zero Hedge』、2013年4月4日、(下)『Money Morning』、2013年4月3日のエントリーより転載

2011年の年初にはちょうど100兆円程度だったマネタリーベースは、直近では135兆円前後まで増えているので、約35%増ということになる。一方、同じ時期に日銀の総資産がGDPに占める比率は約28%から約33%へと18%くらいしか伸びていない。マネタリーベースの伸び率の半分程度だ。この間に日本の名目GDP自体が顕著に伸びていたという事実もない。

つまりは、ジャブジャブ現金を経済に注入しても、その注入によって喚起される経済活動の拡大は現金の増加するペースをはるかに下回っているのだ。このへんの関係は、日銀の総資産をGDPに対する比率ではなく実額で表示した次のグラフのほうが読み取りやすいだろう。


出所:ウェブサイト『Market Oracle』、2013年4月2日のエントリーより転載

青の折れ線で示す日銀の総資産は、2011年2月には144兆円前後だったが、2年後の2013年2月に166兆円前後まで拡大していた。2年間で約15%の伸びということになる。かなり意欲的ではあるが、マネタリーベースの約35%の伸びに比べればぐっと小幅にとどまっている。

もし世の中にインフレ期待が蔓延していれば、これだけ派手なマネタリーベースの拡大があれば、日銀の総資産だってほぼ同じペースか、もっと急激に伸びていただろうし、当然実際のインフレ率は上昇していただろう。だが、赤の折れ線で示すインフレ率は、0.2〜0.3%のプラスから0.2〜0.3%のマイナスに下がっている。

黒田新総裁の登場が、国民の「インフレ期待」を画期的に高めたかと言うと、それはまったくないと断言できる。日本国民の中でいちばん政府や日銀の意向に従順な金融市場関係者や民間エコノミストたちに対するアンケート調査でさえ、「インフレ目標2%」が達成できるという回答は圧倒的な少数派にとどまっている。

日本経済新聞が市場関係者30人に対して行った調査では、「達成できる」という回答は全体の3割にとどまった。また、民間エコノミスト40人に対する調査では、これから2年後の2015年1〜3月期のインフレ率に関するコンセンサス予想は、消費税引き上げの影響を除去すると、0.49%と前回調査時とまったく同じ水準にとどまった。そして、「日銀はインフレ目標を達成できない」とする回答が31人と圧倒的な多数を占めていた。(いずれの調査結果も、2013年4月11日付日本経済新聞記事より)

ましてや、金融市場関係者やエコノミストよりはるかに賢明な日本の大衆が、おめおめと年率2%ものインフレを受け入れるはずがない。現に日銀によるマネタリーベース(ベースマネー)の供給増にもかかわらず、M1、M2、あるいはM2プラスCDといったマネーサプライ(マネーストック)を一定に保つ、そのためにマネタリーベースに対するマネーサプライの乗数を下げるという行動を安倍政権誕生後も一貫して取っている。


出所:ウェブサイト『Zero Hedge』、2013年4月6日のエントリーより転載

上のグラフで分かるように、M1という狭い定義を使おうと、M2プラスCDという広い定義を使おうと、こうしたマネーサプライ指標でGDPを割ることによって算出される貨幣の流通速度はゆるやかに下がりつづけている。マネーサプライをマネタリーベースで割った数値である貨幣乗数のほうは、むしろ安倍政権誕生後やや下落率が拡大している。どこを見ても、「さあ大変だ。インフレがやってくる。安いうちに買っておかなきゃ」という行動パターンは影もかたちもない。

そもそも、円安にして日本国民全員が外国からモノやサービスを買うときの円建て価格を高くすることが、日本経済の改善につながるという発想そのものがおかしい。だが、実際には日本国民は、この円安による海外物資の値上がりという経路からのインフレにも巧みに抵抗している。

下のグラフは、日本が海外からの輸入に全面依存する物資の中でもとくに存在感の大きい原油を輸入するための超大タンカーの用船料の推移だ。


出所:ウェブサイト『Zero Hedge』、2013年4月2日のエントリーより転載

去年11月末から12月初めにかけてピークを打ったアラビア湾岸諸国から日本への原油運送用の超大タンカーの用船料は、今年の2月末には約3割値下がりしていた。まだ、原油の輸入量そのものについてはこれほど新しいデータが明らかになっていない。だから推測で言うしかないが、おそらくたんに世界的に原油の需給が緩みはじめただけではなく、日本の原油消費者全体が、円建てではそうとう大きく値上がりした原油の消費を節約して、荷動きを極端に絞り込んでいるのだろう。

日本国民が叡智を絞って資源の輸入からの物価上昇を水際で食い止めているのに反して、政策的に円安を誘導することの最大の利点だったはずの輸出拡大のほうは、本格的な円安に転じてから少なくとも1ヵ月半が過ぎていた2月の貿易収支でも、一向に実現する気配を見せていない。それどころか、円建てでさえ前年同月比減少が続いているのだ。


出所:(左)日本経済新聞、2013年4月10日付け記事、(中)、同紙同日付記事、(右)同紙、2013年4月8日付夕刊記事より転載

右の表は2月の貿易収支が、輸出は3.5%減の5兆659億円で、輸入は11.5%増の5兆7428億円、差し引き6770億円の赤字になったことを示している。補足として右下に書きこんだように、去年の2月から今年の2月までで、円の対ドルレートは16%も下がっている。つまり、ドルベースでの輸出が去年並みを維持していれば、円建てでは16%の増加が見こめていたはずなのだ。それが、円建てでさえも3.5%減だったということは、現地通貨ベースでは約20%の大激減になっていたことを示唆している。

そもそも日本の工業製品輸出の約8割は中間財・資本財からなっている。輸入する側から見れば、多少価格が高くても生産計画、設備投資計画で必要な量は買わざるを得ないものが多い。逆に、円安で日本から輸入する部品や機械装置だけが安くなったところで、そのために生産計画や設備投資計画全体を拡大する企業はめったにない。

つまり「円安による輸出振興」というのは机上の空論で、実際には日本から中間財や資本財を輸入している企業に、日本製品の現地通貨建て価格が安くなった分、大きな利益をプレゼントするだけに終わっているのだ。これは、通関ベースに限った話ではない。日本産業機械工業会の2月の受注は、全体で前年同月比21.2%減だった。内需が減少率を8.8%に食い止めたのに対して、外需はなんと34.6%の大激減だった。

国民全体を高い輸入物価でいじめても、輸出産業に恩恵があるというなら多少の意義は認められるかもしれない。だが、現状では輸出は円建てで見てもマイナスと言うほどの激減が続いているのだ。いったい、なんのためにこれほど被害の大きい政策をゴリ押ししつづけるのか、まったく意味が分からない。

そもそも「円安・インフレ誘導で景気回復」というのは、論理的思考能力の代わりに、そのときどきの流行を鵜呑みにしておうむ返しにくり返すだけの反芻能力しか持ち合わせていない連中がやっていることだ。円安にした場合に出てくるはずの恩恵がまったく出ていないという事態は、ふつうにものを考える人間なら、直ちに政策の根本から再検討を迫られるような大問題だ。しかし、そんな大問題が浮上しても、それが自分の推進している政策にとってどんなに致命的かということさえ、理解できないのだろう。

これだけ、円安・インフレ誘導策の破綻が明らかになっているにもかかわらず、今や完全にアベノミクス御用新聞と化した日本経済新聞は、強引に景気が良くなっているというウソをつきつづける。左側に掲載した「超低金利で企業が資金調達への意欲を高めている」という見出しが、その典型だ。

ジャブジャブの金融緩和でいずれは金利が上がることは見え透いているのだから、金利が低いうちに社債発行や借り入れ増で早めに対応しておこうという企業が多いことは、むしろ当然だ。だが、純粋に金利コストを下げるための借り換えをすると言っている企業が20%弱あるのに対して、借り入れ増を表明している企業が10%強というのは、資金需要そのものは非常に低調だということを示している。そもそも回答企業の4割近くが資金調達は「特に検討しない」と言っているのだ。

ましてや、「景気回復期待が高まっている」という大ウソを前提とした設備投資計画に関する質問に、75.7%という圧倒的多数が「期初計画を変更しない」と答えている。「需要動向を見極めたうえで増額を検討」と答えた企業は6%にも満たない。こんなウソで固めた「景気回復」期待は、まったく実体経済を反映しない株高が反落に転ずると同時に消し飛んでしまうだろう。

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