チャートワークス 2016年7月3日号 ゴールド |
UPDATE 2016.07.04 |
インスティテューショナル・アドバイザーズ
ロス・クラークによるテクニカル分析
ゴールド、7月初旬のブレークアウト、EU離脱、1308ドルの敷居とスピードライン
7月第3週までのブレークアウト: 過去40年間でゴールド地金価格が7月第3週までに年初来高値を付けた事例はたった7つしかない。(通常、7月は季節要因上の安値を付けることが多い月だ。)ほとんどのケースでは、ゴールド価格は7月いっぱい堅調を維持する。唯一の例外は1979年で、この年にはゴールド価格は7月24日に天井を打った。
直前の安値から次の高値に向けたラリーは、だいたい32~36営業日持続する。1971年の場合は反落に転ずるまで41営業日を要したが、この年のラリー直前の調整には22日間もかかっていた。今年の例では、このラリーが次の高値に到達するまでに要する最短期間のメドは7月15~21日となる。
7月初めのブレークアウトから次の天井に達するまでは、どの年も一度も20日指数平滑移動平均(青のカーブ)を割りこまなかったことにご注目いただきたい。また、どの年も天井に到達したあとは少なくとも50日指数平滑移動平均(赤のカーブ)までか、ときにはそれを下回るところまで調整していた。
当面の最適高値目標は、引きつづき我々が注視してきた50%スピードライン上のトロイオンス当たり1425ドルである。この目標は、5月の1306ドルから1199ドルまでの調整にもとづいて割り出した、1413ドルという目標とも整合性のある位置にある。
ゴールドが7月第3週までにブレークアウトした過去の全事例
イギリスのEU離脱:イギリスの国民投票がEU離脱という予想外の結果に終わったことは、ゴールド価格に当然の影響を及ぼした。すなわち、短いときには数時間、長くても2営業日かぎりで最大10%まで上昇するという反応だ。(今回は1253ドルから1362ドルへの9%上昇となった。)6月18日のチャートワークスでも指摘したとおり、我々はゴールド価格が相対力指数(14)で32まで下がる調整を、買いに入る絶好の機会と見ている。しかし、もし38%スピードラインを超えた位置で動きつづけ、4~5月の高値を割りこまない展開となれば、今後3~4週間の見通しとしてもブルが優勢に変わる。
1308ドルの敷居: 1308ドルの敷居を上回る引け値を付けたことの重要性は、6月12日のチャートワークスで書いておいたとおりだ。ゴールド価格が原油価格の底打ちから3ヵ月以上にわたる調整をすると、直前の高値より1.6%高い敷居(直近の例では1308ドル)を超えるか、超えないかでその後の展開が大きく変わってくる。今回の事例ではこの敷居超えが実現したのだが、今後も価格がブレークアウトの水準を上回る位置で推移すれば、理想的には調整の幅を上積みした価格、現状で言えば1413ドルまで到達することになる。
Speedlines: ゴールド価格は先週1週間を通じてつねに38%スピードラインの上に位置しつづけた。過去6回の7月初めのブレークアウトでは、ゴールド価格は例外なく今後4週間のうちに50%スピードライン(現状では1425ドル)まで上昇していた。
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