チャートワークス 2013年4月14日号 ゴールド |
UPDATE 2013.04.15 |
インスティテューショナル・アドバイザーズ
ロス・クラークによるテクニカル分析
先週の記事ではゴールドの調整幅を控えめにみていた…
「上値抵抗線は維持されているが、下値支持線は破られた。」
相場でトレンドが一度形成し始めると、我々は様々な判断基準に当てはめて、そのトレンドの終了時期を予測しようとする。例えば、下方局面にある相場が上昇に転じたと確定するには、直近の下落幅に対し62%強の反発相場を演じ、前回のラリーの中間点を突き抜ける勢いが必要だと判断する。ゴールドについていえば、4月9日に$1590まで上昇したが、重要な抵抗線水準である$1587を引け値で超えることは出来なかった。周期的、季節的にみれば、今回の動きは6月まで続くラリー相場を導くパターンである。下落相場の底を見極めるテクニカル指標として我々が注視しているのは、下方屈曲点警報またはシークエンシャルセットアップ(4つ前の終値を9回連続で下回ると完成)である。だが、現在のゴールド相場においては、いずれも発動には至っていない。より大きな視点で眺めると、月次チャートは売られ過ぎの状況にあり、2008年10月にみられたような跳躍台警報の点灯条件を満たしつつある。
我々は過去6ヶ月間のゴールド市場の下落と先週金曜に下値支持線を突き抜けた$80という険しい急落を新たな視点で分析している。多くの人は、20ヵ月の時間軸を完成するなかで$1525を下回ると、本格的な弱気相場に突入すると判断するだろうが、そのような結論は現時点では時期尚早と我々は考えている。なぜなら今回のような売り浴びせは現在進行中の強気相場では2度も起きているからだ。次のチャートは、2004年、2008年、2011年に天井をつけた数カ月間のラリー相場を示した事例である。それぞれ天井を形成した後は、3回の売り波動、弧を描く底、C地点で形成する抵抗線を上値試しする展開が続いた。そして2004年と2008年のケースでは、そこから5回の売り波動が起き、最終的な底練りとなった。現在の下落波動は「4」地点に近づいており、過去の事例パターンを辿るとすれば数日内に中期的な底をつける公算が高い。
最初の反発を迎えるには、$1416で推移する50ヶ月指数平滑移動平均(前回試されたのは2008年の底)、$1450〜$1440の価格帯、これはそれぞれ2008年底からの上昇幅に対しフィボナッチ比率で38.2%と37.5%の反落地点ということだが、こうした水準を下値試しする必要がある。
デジャヴ
##img1##
過去のチャートの拡大版
##img2##
##img3##
1980年にピークに達した後に形成されたゴールドの長期の調整相場は1929年と1966年に天井をつけた後のニューヨークダウの動きと多くの面で相似している。ゴールドがこれらのパターンを辿るとすれば、現在のゴールドの反落相場は過去10年間で最大級の買い場を提供してくれるはずだ。
##img4##
##img5##
------------------------------------------
当レポートの見解は筆者個人に属するものである。資料の情報は様々な情報源から収集したものだが、それらの正確性や完全性を保証するものではない。分析レポートは一般投資家を対象に公表され、一般の情報提供のみを目的としている。したがって、明確な投資目的、特定の経済情勢あるいはレポートの一部の読者の要望を考慮して、同レポートを作成していない。当レポートが推奨した銘柄への投資及び投資戦略の妥当性に関しては、読者は第三者に金融上の助言を求めるべきである。また当レポートの見解は将来の見通しを反映するものでないことを留意する必要がある。
我々が紹介した証券に投資したことで得た収益は変動するものであり、それぞれの証券の価格または価値が騰落する可能性があることを投資家は注意すべきである。それゆえに、投資家には当初の投資額を下回る元本割れのリスクが生じる。また過去の実績は必ずしも将来の実績を保証するものではない。レポート上の全ての情報及び見解は、金融商品に係る証券、オプション、先物取引の売買を勧誘するものではない。レポートで言及した証券及び関連の投資対象物の収益、価格は為替相場による悪影響をうける可能性がある。さらに、米国預託証券(ADR)の価格は当該証券の国の通貨価値によって影響をうけるため、ADRの投資家はADR発行先の国の為替変動リスクを引き受けることになる。そして、インスティテューショナル・アドバイザーズ・チームの構成員は自社の出版物で紹介した証券を買い持ち(ロングポジション)あるいは売り持ち(ショートポジション)することがある。