1929年と現在の類似性 |
UPDATE 2015.10.29 |
1929年と現在の経済・金融情勢には大きな共通点がある。その共通点は、このふたつの国際金融危機をほかのあらゆる金融危機よりはるかに深刻なものにしている。
たとえば、1637年のチューリップ・バブル、1720年のドーバー海峡を隔てたフランスのミシシッピ・バブルとイギリスの南海の泡沫、1820年代から40年代にかけてほぼ10年に一度イギリス経済を襲った恐慌、1873〜96年の長期デフレなどについて、震源地となったオランダ、フランス、イギリスといった国々が世界経済を牽引していたというような形容が使われることが多い。だが、これはあくまでも比ゆ的な表現だ。実際には、いちばんこの形容に近づいていたであろう1720年の英仏同時バブルの際でさえ、この2ヵ国の人口、経済力、そして当時の世界GDP総額に占める英仏両国のシェア、あるは世界経済の成長に対する両国の貢献度は、決して微々たるものではなかった。だが、それでも、たとえば同時代にヨーロッパ諸国を全部合計した人口、経済規模よりはるかに大きな人口と経済を擁していたインドや中国とは比べものにならないほど小さかった。