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始まる恐慌の時代

 

UPDATE 2011.07.05

どこかの国がデフォルトしそうな気配である。この国家のデフォルトとは、1720年6月から、5回目の大事件である。さて、ある年の英国エコノミスト誌の見出しを追いかけてみよう。
 ・6月7日「迫りくるスペイン国債のデフォルト」
 ・7月5日「スペイン政府、発行済みの国債のクーポン支払い条件を調整中」
 ・8月2日「スペイン国債の金利支払わず」
 ・8月30日「スペイン無政府状態に」
この上の見出しは、1873年の英国エコノミスト誌のものである。1873年とは日本の明治維新直後の時代であった。

1872年4月7日号の英国エコノミスト誌は、市場の向こう見ず、バブル崩壊の国債市場を前に、読者にこうアドバイスしていた。

「しょっちゅう借金をしている国は避けるように。何故ならそういう国は古い借金に対する利子を新しい借金で払っている状態なのだから」

1823年、派手な大暴落で終末を迎えた時代は、ロンドンが唯一の国際金融センターで、シティの金融街からはロシア、プロシャ、スペインそして何カ国かのラテンアメリカ諸国の国債や大都市の自治体債が発行された。

1822年、6.95%で出されたペルー債、再び1824年、7.5%で発行され、さらに1825年には7.85%で出された。そして市場の流動性が失われ、バブル崩壊後いくつものデフレにより市場は崩壊した。約70行のイギリスの銀行が倒産し、イングランド銀行を救うのに、ロスチャイルド家の支援が必要となった。そして1840年代半ばまで経済収縮は続き、1873年のバブル崩壊まで経済は拡大していった。

2010年8月10日「ギリシャ危機ようやく終息した」その時の国債の利回りは9%。2011年6月25日「ギリシャ国民心中の緊縮政策に関する投票迫る」その時の国債の利回りは30%に上昇した。昨年5月に発生したギリシャ国債の危機は、利回りで3倍になり、終息したかのように見えるが、1873年のスペインと同じことになるだろう。その残された時間は短い。

金価格はこのギリシャ危機の緊張の度合い宜しく、昨年5月の1,200ドルから、先月の1,500ドルまで上昇している。ギリシャデフォルトという国債の危機が、紙幣から現物の金に投資家を向かわせた。さて、もしギリシャがデフォルトすれば、金価格はいくらになるのか?

僕の予想は、秋口に1,800ドルから2,100ドルだが、短期的には今週から上昇トレンド入りが始まる。金の上昇は、デフレの進行と同時に上昇し、国家のデフォルトで信用の中心となる。1930年代はいわゆるジャンク債が大量にデフォルトしている。そして今回のギリシャの次にポルトガル、スペインと連鎖する可能性が高い。

また米国カリフォルニア州やネバダ州の州債のデフォルトも避けられないレベルに来ている。故に金への集中と金価格の上昇は、かなり高く長期的に、約17年継続すると考えられる。そして中国の大バブルの崩壊は、株では昨年11月にスタート、不動産価格ではウォールストリートジャーナル6月9日号の不動産バブル崩壊宣言でスタートしている。

過去4回のバブル崩壊と同じ道どりを歩む世界経済は、多分どの時代より巨大にして壮大なバブル崩壊と、それに従う国債のデフォルトや深刻な株価下落、そして不動産の下落が待っている。このような経済環境の悪化は、日本にも影響する。が、幸い日本だけは世界が被る傷ほど深くない。政治も微動だにせず、大きな変化もチェンジもないだろう。

さて金価格上昇の第一弾が、今週末からスタートする。そして相反する米国株の最大の華が散り始めるのも今週からである。

チャートワークス2011年6月16日号「米株式市場」の中に、売られ過ぎ状態から暴落相場を展開するシナリオとあるが、あの時点の売られ過ぎた株価が反発し、ある目標まで到達したら危ういと警告していたが、その警告のポイントに来てしまった。あの日、母が病室で横たわっていた。病室に入る僕に、医者はあと数日でしょうとささやいた。数日後、母は目を開けることのない世界に飛んで行った。不思議とあの医者の静かで冷酷なささやきを今思い出す。

あと2週間から8週間ですよ。世界は今まで経験したことのない大事件に遭遇する。誰が何と言おうと、米国が再び60兆円の国債買い支えをしようが、オバマがチェンジを声高に唱えても、もはやこの大事件は止まらないだろう。

2008年10月のリーマンを予見し、株価暴落の月日とその下落幅まで予測した僕の大親友のボブ。そのボブが再び2011年のニューヨーク株の暴落を、まずは時間的な予測を出してきている。そして冒頭に書いたくだりは、ボブのレポート6月29日号「国債という名の乱痴騒ぎ だれも何も学ばなかった」からの引用とアレンジである。

20年間書いてきた恐慌が秋口までには日本にも来ているだろう。しかしこれは日本が世界のリーダーになる産みの苦しみの時期でもある。大災害を超えてゆく人々、そしてまた来る大きな経済的な津波は、これまでのどの波よりも大きい可能性がある。

が、この事件は人類が繰り返してきた人災の一種であることを、僕も皆さんも理解するに違いない。冷静に、そして次の時代の幕開けとしてこの苦痛を耐えれば、苦は転じて楽になる。苦のない楽がないように、我々は次の時代の、次の尊敬されるリーダーとしての品格を、その苦痛から生みだしていくはずである。

金と金鉱山に賭してきた僕は、ここに毎週同じことを書きながら、自分を鼓舞し、励ましてやってきた。そして全ての準備は用意できたことを確認している。これから金鉱山会社が花型産業になる。金鉱山しか花型になれないのは、金の上昇以外、その他全ての資産が下落する時代が来るからである。

金価格を物価で除した真の金価格、このリアルゴールドプライスが、大上昇することになっている。

牛之宮ウイークリー2011年7月5日号 神字日文より、一部加筆変更

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