『戦争とインフレが終わり 激変する世界経済と日本』
この本でいちばん訴えたかったのは、世界は有史以来もっとも平和な時代を迎えていて、その平和な時代に真価を発揮するのは日本経済だということです。古来、戦争を起こしてきた3大要因は、食糧や食糧を得るための農耕地、遊牧地の奪い合いと、宗教・宗派間のいさかいと、資源の争奪でした。
現代の世界では、飢餓と紙一重の状態にある人々が食糧や農耕地を奪い合って戦争に至るというほど食糧事情が悪い地域は、ほとんどなくなっています。サハラ以南のアフリカ諸国でも、食糧の絶対量が不足しているというよりは、宗教対立のからんだ部族間抗争などで食糧が特定の地域に行きわたらないケースのほうが多いのです。
今もなお、宗教対立が戦争を招くことがあるのは悲しい現実です。しかし、地球上でそうした理由によって戦争が起きる地域は、明らかに拡大しているのではなく、縮小しています。アメリカが自国民の好き嫌いによって世界中の宗教紛争にまで介入するスタンスを放棄すれば、そうした不幸な地域はさらに激減するでしょう。