時代の転換点を読む 2009年6月18日号 |
UPDATE 2009.06.20 |
原文:Bob Hoye, Institutional Advisors
翻訳: 増田 悦佐
時代を象徴するコメント:
去年の今ごろ:
「食糧危機を防ぐための『パニック買い』でとうもろこしや大豆の価格が暴騰する」
——2008年4月15日付ブルームバーグ
「商品価格が急騰しているが、この価格は高止まりする可能性が非常に高い。今度の食糧危機は今までとは全然違う深刻な危機だからだ」
——2008年4月12日付グローブ・アンド・メイル紙
「『5月に売り払って、しばらく相場からはなれていろ』なんて格言は過去十年に関するかぎり、全然信用できないアドバイスだった」
——2008年4月12日付フィナンシャル・ポスト紙
変わって今年の光景:
「中国に関する楽観論が投資家を商品の蓄積に駆り立てている」
——2009年5月12日付モントリオール銀行国際商品ストラテジー
「なぜ、商品のスーパーブームは間違いなくやってくるのか」
——2009年5月12日付プロスペリティ・ネットワーク
最新版の「スーパーブーム」の根拠も、去年の今ごろみんながはやしていたのとまったく同じで変わりばえのしない、米ドルの下落と中国だった。
「ハイパーインフレと、その結果もたらされる変化について」
——2009年5月22日の『タクティカル(戦術的)インベスター』ブログ
いやはや、5月はまたしても木の芽どきにふさわしいバカげた浮かれ騒ぎの季節を我々の記憶に残していってしまった。1〜2週間前、我々はこの浮かれ騒ぎムードに冷や水を浴びせるために、1873年のバブル崩壊不況が始まってから約20ヵ月目に書かれた、1875年の『エコノミスト』誌の以下のような文章を紹介しておいた。
「マネーマーケットを突然の変化が襲った。不健全な事業展開などあってはならない分野で、不健全な事業が見つかってしまったのだ」
1875年5月29日付エコノミスト
1870年には3.9%だった労働組合所属の労働者たちの失業率は1872年には0.9%まで下がった。だが、その後1879年まで一度も下がることなく11.4%まで上がりつづけた。
今回はどうか。株式市場が天井を付けてから20ヵ月後の今月に入って、マネーマーケットに変化があった。6月5日に短期金利が急騰し始めたのだ。そして、この短期金利急騰が次の月曜日(8日)以降に株式市場が軟調となることのさきがけだった。やはり大天井から20ヵ月目に当たる1930年の5月にも似たようなじり安局面が始まった。
これまでのところ、事態は我々の予想通りに展開している。