ジャーナル・オブ・エコノミック・パースペクティブ 2009年第2(春季)号 |
UPDATE 2011.05.02 |
歴史回顧 「資本主義打倒の近道は通貨価値を貶めること」
と言ったのは、ケインズかレーニンか?
マイケル・V・ホワイト、カート・シューラー*
マイケル・V・ホワイトはオーストラリア・ビクトリア州モナシュ大学の専任講師、カート・シューラ—はアメリカ連邦政府財務省職員。
序
ジョン・メイナード・ケインズの著作の中でも、よく引用されるのが「資本主義打倒の近道は通貨価値を貶めることだ」という一節だ。このくだりは、1919年に出版されるや否やベストセラーとなったケインズ著『平和の経済的帰結』にもとはレーニンのことばとして登場する。それからほぼ60年近くたってから書いた論文で、経済学者で経済史家でもあるフランク・W・フェッターが、「その後ずっとこの一節がレーニンの引用だということは、経済学者も、ジャーナリストも、実業家も、政治家も、銀行家もまったく疑いなく受け入れてきた」と述べている。