増田悦佐さんより〜「危機と金(ゴールド)」 シリーズその3 |
UPDATE 2010.07.16 |
重商主義と金本位制のねじれた関係
最近、とっくの昔にめでたく成仏したと思われていた古めかしい経済思想がふたたび脚光を浴びている。重商主義、あるいは新重商主義と呼ばれる思想だ。たとえば、毎日新聞社が発行している日本版の『エコノミスト』誌は今年4月27日号で「新重商主義」特集を組んでいた。
重商主義とはどういう経済思想かと言うと、国民経済の成功を測る重要な指標は、どれだけ他国に対する輸出額から自国の輸入額を引いた金額、ようするに貿易収支あるいは経常収支の黒字を拡大するかにあるという主張なのだ。論者によっては、これが唯一の指標だというところまで強調する向きもある。つまり、どれだけ外貨準備を積み上げたかが、経済全体がうまくいっているか、いないかを測る最良の尺度だという考え方だ。